白内障手術の費用:保険の払い戻しと自己負担額
Assurance Maladie(フランスの公的医療保険)が払い戻す分、ご契約の mutuelle(フランスの民間補完医療保険)が支払える分、そしてご自身の負担として残る分を、選ぶ眼内レンズに応じて片眼ずつお示しします。手術はClinique Sainte-Geneviève(パリ14区)で行います。
更新:2026年10月 · 執筆・校閲:Moïse Tourabaly医師(眼科医)、Hôpital National des Quinze-Vingts(Sorbonne Université)元 臨床医長(Chef de Clinique)
フランスの公的医療保険に加入していない方へ 外国からの患者さんや、保険の受給資格がまだ開始していない方の場合、クリニックの入院費用はご自身の負担となり、本ページの金額はあてはまりません。carte Vitale(フランスの公的医療保険の保険証)がない場合の目の手術をご覧ください。
白内障手術の費用はいくらですか?3つの項目
白内障の手術の費用は、たがいに独立した3つの項目に分かれます。項目ごとに、払い戻しの仕組みが異なります。
手技とクリニックの費用
Sécurité sociale(フランスの社会保障制度。ここでは Assurance Maladie を指します)の基準額にもとづく手術の手技、手術室、消耗品、クリニックでの日帰り入院。
上乗せ料金
執刀医が自由に定める料金(Secteur 2 OPTAM):診察、手術の手技、お一人おひとりに合わせた経過観察、医師としての責任。
眼内レンズ
生活に合った眼内レンズを選びます。単焦点、焦点深度拡張型(EDOF)、多焦点のいずれかです。眼内レンズの種類ごとに、どのように見えるかをご覧ください。
Sécurité sociale と mutuelle による保障:カバーされる範囲
手術の手技(CCAM コード BFGA427:眼内レンズ挿入を伴う水晶体摘出術)は基準額の100%、片眼あたり271.70ユーロが払い戻され、日帰り入院の費用は Assurance Maladie がクリニックに直接支払います。120ユーロ以上の手技について Assurance Maladie が金額を定める定額負担金は、手術1回につき1回、被保険者の負担として残ります。ご契約の補完医療保険(complémentaire santé)が、これを負担することもあります。Assurance Maladie はさらに、LPPR(Liste des Produits et Prestations Remboursables:保険償還の対象となる医療材料・サービスの一覧)に登録されたすべての眼内レンズについて95ユーロを払い戻します。この払い戻しは、保険の受給資格があることが前提です。資格がない場合、carte Vitale がない場合の白内障手術の費用負担は、別の規則に従います。
片眼ごとに届く請求書は次のとおりです:
- クリニック:日帰り入院の費用は、「GHS」(groupe homogène de séjour:入院1件ごとの定額料金)という形で、Assurance Maladie が直接支払います。お支払いいただくのは、定額負担金と、ご希望の場合の個室料金だけです。
- 執刀医:基準額271.70ユーロにもとづいて払い戻される手技料と、お見積もりに記載された500〜1,000ユーロの上乗せ料金。
- 麻酔科医:Sécurité sociale が負担する部分と、麻酔科医の上乗せ料金です。上乗せ料金は麻酔科医から直接請求されます。ご契約の内容によっては、執刀医の上乗せ料金と同じように mutuelle が払い戻すことがあります。
ご自身の負担として残るのは、次のものです:定額負担金、執刀医の上乗せ料金(Secteur 2 OPTAM)、そして場合によってかかるプレミアム眼内レンズを選ぶことによる追加費用。これに加えて、該当する場合には、ご希望の個室料金(クリニックが請求し、mutuelle がカバーすることもあります)と、麻酔科医の上乗せ料金がかかります。麻酔科医の上乗せ料金は、麻酔科医自身が金額をお伝えし、直接請求するもので、ご契約の内容によっては mutuelle が払い戻すことがあります。
mutuelle の契約によって、自己負担額はどう変わりますか?
お支払いいただく金額は、主に、ご契約の mutuelle が上乗せ料金(dépassements d’honoraires)をどのように払い戻すかによって決まります。mutuelle はこれを、Sécurité sociale の償還基準額(base de remboursement、略して「BR」)に対する割合で示し、その割合には Sécurité sociale の負担分も含まれます。たとえば200%の契約では、合計で基準額の2倍が払い戻されます。つまり、Sécurité sociale の271.70ユーロに加えて、上乗せ料金のうち271.70ユーロが払い戻されます。
| mutuelle による上乗せ料金の払い戻し率 | 上乗せ料金が500ユーロの場合 | 上乗せ料金が1,000ユーロの場合 |
|---|---|---|
| mutuelle なし | 500ユーロ+定額負担金 | 1,000ユーロ+定額負担金 |
| 100% BR | 500ユーロ | 1,000ユーロ |
| 200% BR | 228.30ユーロ | 728.30ユーロ |
| 300% BR | 0ユーロ | 456.60ユーロ |
| 400% BR 以上 | 0ユーロ | 184.90ユーロ |
金額はすべて片眼あたりで、両眼を手術する場合は2倍になります。単焦点レンズ(追加費用なし)の場合です。EDOF レンズまたは多焦点レンズの場合は、その追加費用を加えてください(下の価格帯の表を参照)。前提条件:mutuelle に加入している場合は定額負担金を mutuelle が負担するものとし、麻酔科医の上乗せ料金(これも契約によっては mutuelle が払い戻します)は含めず、個室料金と mutuelle の眼内レンズ給付枠も含めていません。正式な金額は、お一人おひとりのお見積もりによります。
Tourabaly医師は OPTAM に加入しているため、「contrats responsables(責任ある契約)」と呼ばれる契約は、同医師の上乗せ料金を、規制上の上限なしに払い戻すことができます。OPTAM に加入していない secteur 2 の医師の場合、こうした契約が払い戻せるのは、最大でも基準額の100%に相当する額までです。ご自身の契約の払い戻し率を知るには、当院のツールでご契約の mutuelle を検索してください(フランス語)。白内障について、公開されている保障一覧表に何が定められているかを表示します。
公立病院か民間クリニックか:何が変わるのか
白内障手術の費用は、医療機関の種類よりも、執刀医の診療区分によって左右されます。公立病院(院内での医師の個人診療〈consultations privées〉を除く)では、secteur 1(公定料金を守る区分)の執刀医の場合と同じく、上乗せ料金はかかりません。残るのは定額負担金と、医療機関がプレミアム眼内レンズを扱っている場合はその追加費用です。民間クリニックでは、ほとんどの執刀医が secteur 2 で診療しており、上乗せ料金は手術の前に書面で提示されなければなりません。受診までの待ち時間や選べる眼内レンズは、医療機関によって異なります。
眼内レンズの選び方:3つの系統、3つの使い方
どの眼内レンズにするかは、生活の仕方、見え方へのご希望、そして目の解剖学的な特徴(乱視、眼軸長など)によって決まります。手術の前に、見え方のテストとシミュレーションを行います。
鮮明に見える距離はひとつ
ひとつの距離(多くは遠方)を矯正します。近くを見るときには眼鏡が必要です。
- 追加費用なし:眼内レンズは Sécurité sociale の負担でカバーされます
- ひとつの距離、多くは遠方がはっきり見えます
- トーリック仕様(乱視):片眼あたり≈75〜115ユーロ
焦点深度の拡張
遠方から中間距離(画面、車のダッシュボード)まで、途切れなく見えます。細かい字を読むときには、なお眼鏡が役に立ちます。
- 焦点深度と見え方の質のあいだの折り合い
- 夜間のハローは、一般に多焦点レンズより目立ちにくい
- 運転や画面に向かう仕事に適しています
近方+遠方+中間距離が見える
読書も含めて、眼鏡に頼る場面を減らすことを目指します。
- 眼鏡が必要になる場面が減ります(患者さんによって異なります)
- 数週間の神経視覚的な順応期間があります
- 夜間に軽いハローが生じることがあります
眼内レンズの追加費用:系統ごとの価格帯
すべての眼内レンズについて Sécurité sociale が負担する95ユーロを差し引いた正味の金額です。つまり「眼内レンズ」の項目について、片眼あたりご自身の負担として残る金額です。選んだモデルの正確な価格は、診察の際にお渡しする眼内レンズのお見積もりに記載します。
| 眼内レンズの系統 | 目標とする見え方 | 球面 | トーリック(乱視) |
|---|---|---|---|
| 単焦点 | ひとつの距離、多くは遠方 | 0ユーロ | ≈75〜115ユーロ |
| EDOF(焦点深度拡張型) | 遠方と中間距離 | ≈310〜406ユーロ | ≈365〜406ユーロ |
| 多焦点(3焦点) | 遠方、中間距離、近方 | ≈230〜455ユーロ | ≈350〜605ユーロ |
2026年10月1日時点の取引先の価格表にもとづいて算出した価格帯です。一部のモデルはお見積もりとなります。価格はメーカーの料金改定によって変わることがあります。
白内障手術で、mutuelle は何を払い戻しますか?
ご契約のいくつかの欄が関わってきます。見方をご説明します。
📄 上乗せ料金
ご契約の「hospitalisation chirurgicale(手術を伴う入院)」または「complément d’honoraires chirurgien(執刀医の上乗せ料金)」の欄をご確認ください(古い契約では「dépassement d’honoraires」と書かれていることもあります)。よくある補償範囲:Sécurité sociale の基準額の100〜300%。
👁️ プレミアム眼内レンズ
契約によっては、プレミアム眼内レンズ(EDOF、多焦点)の追加費用、つまり Sécurité sociale の95ユーロを超えて払い戻されない部分について、給付枠を設けているものがあります。この給付枠が保障一覧表の1ページ目に載っていることはまれです。お見積もりを添えて、mutuelle に明確にお問い合わせください。
📞 事前のお見積もり
術前の診察のあと、くわしいお見積もりをお渡しします。ご契約の mutuelle にお送りいただくと、補償額の見積もりを書面で受け取ることができます。
🔎 ご契約内容をわかりやすく
払い戻し率が見つかりませんか?当院のツール(フランス語)で、ご加入の保険機関、ご職業、勤務先を検索すると、公開されている保障一覧表に白内障について何が定められているかを表示します。
白内障の費用についてよくあるご質問
両眼で、合計いくらかかりますか?
合計は、選ぶ眼内レンズとご契約の mutuelle によって変わります。単焦点レンズで、mutuelle が Sécurité sociale の基準額しか払い戻さない場合(100% BR)は、両眼で1,000〜2,000ユーロ、つまり上乗せ料金の分です(定額負担金と麻酔科医の上乗せ料金は含みません)。契約の払い戻し率が高いほど、この上乗せ料金のうちカバーされる部分が大きくなります。400% BR では、上乗せ料金が500ユーロなら全額がカバーされ、1,000ユーロなら片眼あたり184.90ユーロが残ります。中間のケースは上の試算例の表でくわしく示しています。診察の際に、書面のお見積もりをお渡しします。
mutuelle に加入していない場合、白内障手術の費用はいくらですか?
mutuelle がなく、単焦点レンズを選ぶ場合、上乗せ料金として片眼あたり500〜1,000ユーロ(正確な金額はお見積もりに記載)に、定額負担金が加わるとお考えください。手術の手技、クリニックの入院費用、単焦点レンズは、引き続き Assurance Maladie が負担します。プレミアム眼内レンズを選ぶとその追加費用(モデルによって約230〜455ユーロ、トーリック仕様ではさらに高額)がかかり、個室をご希望の場合は別途請求されます。さらに麻酔科医の上乗せ料金がかかり、その金額は麻酔科医からお伝えします。mutuelle に加入していれば、契約の内容によって払い戻されることがあります。
白内障手術は、公立病院のほうが安いのですか?
公立病院(院内での医師の個人診療を除く)では、secteur 1 の執刀医の場合と同じく、上乗せ料金はかかりません。残るのは定額負担金と、医療機関がプレミアム眼内レンズを扱っている場合はその追加費用です。受診までの待ち時間や選べる眼内レンズは、医療機関によって異なります。
定額負担金(participation forfaitaire)とは何ですか?
Assurance Maladie が定める一定の金額で、白内障手術のように料金が120ユーロ以上の医療行為について、被保険者の負担として残るものです。手術1回につき1回かかるため、両眼を別々の日に手術する場合は2回かかります。金額はクリニックの請求書に記載され、ご契約の補完医療保険が払い戻すことがあります。
最新世代の多焦点眼内レンズの価格はいくらですか?
多焦点眼内レンズの追加費用は、モデルによって片眼あたり約230〜455ユーロです(トーリック仕様ではさらに高くなります)。これに、片眼あたり500〜1,000ユーロの上乗せ料金が加わります。手術の手技、入院費用、単焦点レンズは、引き続き Assurance Maladie が負担します。EDOF レンズ、多焦点レンズ、トーリックレンズの違いは、専用のページでくわしくご説明しています。書面のお見積もりは診察の際にお渡しします。
手術が保険で払い戻されるのに、なぜ上乗せ料金がかかるのですか?
Tourabaly医師はSecteur 2 OPTAMの協約医です(料金を自由に定められる区分のうち、料金を抑える取り決めに参加している医師で、Assurance Maladie と大半の mutuelle から、より手厚い払い戻しを受けられます)。Sécurité sociale は、Secteur 1 の料金(白内障ではおよそ271ユーロ)を基準に手技を払い戻します。お見積もりにより片眼あたり500〜1,000ユーロとなる上乗せ料金は、お一人おひとりに合わせた診察、きめ細かな経過観察、執刀医の専門性と医師としての責任に対する報酬です。この計算は、保険の受給資格があることが前提です。carte Vitale がない場合の白内障手術の費用負担は別の規則に従い、専用のページでくわしくご説明しています。この上乗せ料金は、フランス医師職業倫理規程(Code de déontologie médicale)の第53条(Article 53)に沿ったものです。すなわち、透明性をもって掲示し、「節度と分別をもって」定めています。
単焦点レンズで十分ですか?
多くの患者さんにとっては十分です。現在の単焦点レンズは、追加費用なしで、遠方の鮮明な見え方をもたらします。細かい字を読むには、引き続き眼鏡が必要です。読書、画面、運転など、ほとんどの場面で眼鏡なしで過ごしたいとお考えなら、EDOF レンズや多焦点レンズのほうが合っています。ただし、どれにするかは、目の状態と生活の仕方を確かめたうえで、診察のなかで決めます。
眼内レンズについて Sécurité sociale が払い戻す95ユーロは、どういう仕組みですか?
LPPR(Liste des Produits et Prestations Remboursables:保険償還の対象となる医療材料・サービスの一覧)に登録されたすべての眼内レンズには、Sécurité sociale から95ユーロの定額の払い戻しがあります。本ページに掲げた価格帯は、この払い戻しをすでに差し引いた金額で、眼内レンズの項目についてのご自身の自己負担額にあたります。
お見積もりは、診察から手術までのあいだに変わることがありますか?
いいえ。術前の診察でお渡しする書面のお見積もりは、有効期間の6か月のあいだ確定しています。金額が変わるのは、患者さんご自身が変更された場合(たとえば、最終的に別の眼内レンズを選ばれた場合)だけです。その場合は、あらためてお見積もりを作成します。
両眼を同じ日に手術できますか?
原則として片眼ずつ、1〜2週間の間隔をあけて手術し、もう一方の目を手術する前に、最初の目の経過が順調であることを確かめます。両眼を同じ日に手術するのは例外的で、限られたケースだけです。上乗せ料金と眼内レンズの費用は片眼ごとにかかり、定額負担金は手術ごとにかかります。
白内障に加えて乱視もある場合は、どうなりますか?
「トーリック」と呼ばれる眼内レンズは、白内障の手術の際に挿入され、乱視も矯正します。トーリックのモデルは、どの系統(単焦点、EDOF、多焦点)にも用意されています。球面レンズと比べた追加の費用は、上の価格帯の表に記載しています。
公的な情報源
- Code de la sécurité sociale(フランス社会保障法典)、L160-13条〜L160-16条「Participation de l’assuré social(被保険者の負担)」、Légifrance。参照する
- Classification commune des actes médicaux(CCAM:医療行為共通分類)、手技 BFGA427「Extraction extracapsulaire du cristallin par phakoémulsification, avec implantation de cristallin artificiel dans la chambre postérieure de l’œil(超音波乳化吸引による水晶体嚢外摘出術および後房への眼内レンズ挿入)」、償還基準額271.70ユーロ。参照する
ご希望についてご相談ください
一通りの術前の診察によって、手術の適応を確かめ、合った眼内レンズを選び、お一人おひとりに合わせた書面のお見積もりをお渡しできます。
ご契約の mutuelle は何を払い戻しますか?ご加入の保険機関、ご職業、勤務先で検索すると、公開されている保障一覧表にもとづいて、白内障、レーザー手術、ICL についてご契約で何が定められているかをツールが表示します(フランス語)。