SMILE Pro:VisuMax 800レーザーで本当に変わること
SMILE Proは新しい手術ではありません。Zeiss社の最新世代のレーザー、VisuMax 800で行うSMILEのことです。原理は変わりません。角膜の薄い円盤状の組織をレーザーで切り出し、小さな切開から取り出します。フラップは作りません。変わるのは、レーザーの速さと、中心合わせ・位置合わせの自動化です。発表された研究では、視力の結果は前の世代と同等です。測定で示された唯一の利点は、乱視矯正の軸合わせです。Tourabaly医師がClinique Laser Victor Hugoで手術に用いているのは、このレーザーです。
レーザー
SMILE、SMILE Pro、KLEx:それぞれ何を指すのか
SMILE(Small Incision Lenticule Extractionの略)は、近視と乱視を三つの段階で矯正します。まず、フェムト秒レーザーが角膜の内部に薄い組織の円盤、レンチクルを切り出します。その厚みが矯正量に対応します。次に、執刀医がこれを剥離し、数ミリの切開から取り出します。この体積が失われることで角膜の曲率が変わり、視力が矯正されます。LASIKとは異なり、フラップを持ち上げることはありません。
フラップかレンチクルか:二つの手技の違い
どちらの術式も、角膜の曲率を変えて近視を矯正します。角膜へのアプローチの仕方が異なります。
LASIK
フラップを作って持ち上げ、その下の角膜をレーザーで整えます。
SMILE
角膜の内部でレンチクルを切り出し、数ミリの切開から取り出します。
断面の説明用の図です。見やすいように、比率を誇張しています。どちらを選ぶかは、術前検査で、眼ごとに決めます。
「SMILE Pro」は、Zeiss社がVisuMax 800レーザーで行うSMILEにつけた商品名です。VisuMax 800は、VisuMax 500の後継機種です。科学論文では、レーザーのメーカーを問わずレンチクル抽出のあらゆる術式を指す総称、KLEx(keratorefractive lenticule extraction)という用語が次第に多く使われています。この系統の術式については、エビデンスに基づく国際的なガイドラインが2025年にOphthalmology誌で発表されました(Wang)。候補者の選択から合併症の管理まで、38の推奨が示されています。
手術中にVisuMax 800で変わること
より速いレーザー
VisuMax 800は、2 MHzでパルスを出力します(VisuMax 500は500 kHz)。メーカーによれば、レンチクルは1眼あたり10秒未満で切り出されます。患者さんにとっては、主に、眼が軽い吸引で保持され、眼の上に置かれた曲面のガラスの下で光を見つめたまま動かずにいる時間が短くなる、ということです。手術室で過ごす時間は、この数秒だけではありません。準備、点眼麻酔、そして執刀医によるレンチクルの摘出が、施術時間の大半を占めます。
中心合わせと位置合わせの自動化
自動化された機能が二つ加わりました。一つ目は、治療を患者さんの視軸に合わせて中心に置く機能です。二つ目は、診察時の座位から手術時の仰臥位へ移るあいだに生じる、眼のわずかな回転を補正する機能です。この回転は、軸のある乱視を矯正するうえで重要です。治療が数度ずれると、矯正の精度が下がるからです。この二つの調整は、前の世代では自動化されていませんでした。
同じレーザーはLASIKにも使われます。Clinique Laser Victor Hugoで、Tourabaly医師が使うVisuMax 800は、LASIKのフラップも、SMILEのレンチクルも切り出します。したがって、二つの術式のどちらを選ぶかは、機器ではなく、その眼によって決まります。
VisuMax 800:変わること、変わらないこと
- パルス頻度は2 MHz(500 kHzに対して)
- メーカーによれば、10秒未満で切り出し
- 中心合わせの自動化
- 眼の回転の自動補正
- 原理:フラップを作らず、レンチクルを取り出す
- 前の世代と同程度の視力の結果
- 適応:術前検査で判断
- 術後の経過と診察
2026年に発表された、9件の研究のメタアナリシス(Wan)による比較です。
エビデンス
従来のSMILEより結果は良いのですか?
患者さんからよく聞かれる質問ですが、最も確かな答えは2026年に出ています。中国のメタアナリシス(Wan, 2026)は、二つのレーザーを比較した9件の研究、近視の1,672眼をまとめました。裸眼で1.0(フランス式の表記では10/10)に達した眼の割合にも、矯正の精度にも、安全性にも、有意な差は認められていません。明らかな差があったのは、乱視の軸だけです。治療が5度以内に合っていた頻度は、VisuMax 800のほうが約1.16倍でした。これは、眼の回転を自動で補正することと整合します。著者らは、これらの研究が観察研究であり、ランダム化試験ではないことを指摘しています。
言い換えれば、SMILE Proは施術をより速く、より再現性の高いものにしますが、発表された研究ですでに非常に良好な結果が示されていた前の世代のSMILEより、よく見えるようにするわけではありません。
VisuMax 800に固有の症例シリーズが示すこと
- 6か月時点の結果:このレーザーの発売後に行われた、欧州とアジアの多施設共同研究(Sekundo, 2025, 473眼)については、当サイトのSMILEのページで詳しく解説しています。
- 1年後の安定性:ドイツの90眼の症例シリーズ(Messerschmidt-Roth, 2026)では、12か月の時点で96%の眼が目標とした矯正値から0.50ジオプトリー以内にあり、3か月目から12か月目のあいだに目立った変化はありませんでした。5人に1人の患者さんは、1年の時点で再診されていません。
- 日常診療での安全性:SMILE Proで手術を受けたドイツの916眼の症例シリーズ(Beckers, 2026)では、99.45%で手術が最後まで完了しました。吸引の喪失が6眼で起こりました。1眼は再度の装着後に手術を完了でき、4眼は別の術式で手術され、残る1眼は再手術を受けていません。2回目の手術が必要になったのは1.54%の眼でした。有害事象は、主に早期のもので軽く、表面の小さな損傷とドライアイでした。視力を脅かす合併症は観察されませんでした。
- 満足度:多施設共同研究では、226人の患者さんが6か月の時点でアンケートに回答しました(Feucht, 2026)。98.7%が満足していると答え、93.8%は日常生活で眼鏡やコンタクトレンズが不要になったと回答しました。80.5%は夜間の運転に困難がない、あるいはわずかであると報告しており、つまり、約5人に1人はより強い困難を報告していたことになります。
- 乱視:トルコの128眼の症例シリーズ(İritaş, 2026)では、軸はよく守られていましたが、強い乱視は3か月の時点でやや矯正不足のままでした。著者らは、こうした眼については設定を改善できる余地があると見ています。
数字で見るSMILE Pro
VisuMax 800の発表済みの症例シリーズから得た、三つの数値です。
これらの数値は研究の症例シリーズを示すもので、個々の結果ではありません。リスクは診察のときに説明します。
変わらないこと
適応。SMILE Proが矯正するのは、近視と近視性乱視です。VisuMax 800の研究の対象は、-10ジオプトリーまでの近視と、5ジオプトリーまでの乱視でした。遠視については、経過観察の実績が最も長いLASIKが、引き続き基準となる術式です。老視には、PresbyLASIKなど、別の方法があります。手術は、視力が安定していることを条件に、18歳から可能です。
術前検査。術式を決めるのは、機器ではなく、角膜の厚さと形状、眼の表面の状態、矯正の安定性です。この術前検査は、Cachanの診療所、または角膜トポグラフィーを備えたSorbonne Saint-Michel診療所(Paris 5区)で行います。眼によって、SMILE、LASIK、PRK、あるいは別の方法につながることがあります。角膜の強度は、SMILEの利点としてしばしば挙げられますが、差があることは示されていません。16件の研究のメタアナリシス(Chen, 2023)では、SMILEとフェムト秒レーザーLASIKのあいだで、角膜の生体力学に有意な差は認められていません。これらの術式を互いに比較するには、当サイトの記事LASIKとSMILEが参考になります。
術後の経過。SMILEと同じです。SMILEでは、手術後に保護シールドを必要としません。診察は翌日、その後1か月後に、CachanまたはParis 13の診療所で行います。一時的なドライアイが生じることがあります。カナダのメタアナリシス(Sambhi, 2020)は、涙液の安定性がLASIKの後には有意に低下する一方、SMILEやPRKの後には低下しないことを示しました。より新しい二つのメタアナリシスも、同じ方向を示しています。最初の数か月は、SMILEのあとのほうが角膜の神経がよく温存されており(Jiang, 2022, 12件の研究)、涙液もLASIKのあとより3か月と6か月の時点で安定しています。ただし、アンケートで測定した自覚症状には、有意な差がありませんでした(Chen, 2025, 18件の研究)。屈折矯正手術は、医学上の必要に迫られて行うものではなく、本人の希望による手術のため、休業の診断書は発行されません。回復のための日数は、有給休暇またはRTT(フランスの労働時間調整による代休)で取ります(LASIK、PRK、SMILEのあとの休業の診断書を参照)。
場所と料金。手術は、VisuMax 800があるClinique Laser Victor Hugo(Paris 16区)で行います。したがって、Tourabaly医師が行うSMILEはすべて、SMILE Proです。料金はSMILEの料金で、両眼で3,300ユーロです。基本料金に含まれるものと別に請求されるものの詳細は、屈折矯正手術の料金のページに記載しています。フランスの公的医療保険(Assurance Maladie)は、この手術の費用を払い戻しません。一部のミュチュエル(補足医療保険)には、定額の給付があります(ミュチュエルは何を払い戻すかを参照)。
あらゆる手術と同様に、SMILE Proにもリスクがあり、診察のときやSMILEのページで詳しく説明しています。先に挙げた916眼の症例シリーズ(Beckers, 2026)では、有害事象は主に早期のもので軽いものでした。
よくあるご質問
SMILEとSMILE Proは、同じ手術ですか?
はい。原理は同じです。角膜の内部でレーザーによって切り出したレンチクルを、小さな切開から取り出し、フラップは作りません。「SMILE Pro」は、VisuMax 800レーザーで行うSMILEのことで、より速く、中心合わせと眼の回転の補正が自動化されています。
SMILE Proは、SMILEより料金が高いのですか?
いいえ。Tourabaly医師は、Clinique Laser Victor HugoでVisuMax 800を用いて手術しており、ここでのSMILEはすべてSMILE Proです。料金はSMILEの料金(両眼で3,300ユーロ)です。術前検査と点眼薬は別に請求されます。詳細は料金のページに記載しています。
手術にはどのくらい時間がかかりますか?
レーザーがレンチクルを切り出すのは、メーカーによれば1眼あたり10秒未満です。手術室での施術は、それより長くかかります。体位の準備、点眼麻酔、切り出し、そして執刀医によるレンチクルの摘出があります。
痛みはありますか?
麻酔は点眼で行います。手術中、ほとんどの患者さんが主に感じるのは、吸引のときの圧迫感で、このレーザーは切り出しが速いため、吸引の時間がより短くなります。術後の数時間は、不快感、ちくちくする感じ、涙が出ることがよくありますが、速やかに和らぎます。
従来のレーザーより結果は良いのですか?
示されている限りでは、そうではありません。9件の研究のメタアナリシス(Wan, 2026)では、VisuMax 800とVisuMax 500のあいだに、視力、精度、安全性の差は認められていません。乱視の矯正軸が適切に合う頻度だけが、VisuMax 800のほうで高くなっています。
SMILE Proは、遠視や老視も矯正できますか?
まず近視と近視性乱視のための術式です。遠視については、経過観察の実績が最も長いLASIKが引き続き基準で、老視には、PresbyLASIKなど、ほかの方法があります。術前検査で、それぞれの眼に合った術式が決まります。
Cachanの診療所、Paris 13の診療所、Sorbonne Saint-Michel診療所(Paris 5区)での診察 · 電話 +33 1 45 47 08 11
参考文献
- Wan Q, et al. Comparison of VISUMAX 800 and VISUMAX 500 femtosecond laser systems for myopia: a systematic review and meta-analysis. J Clin Med. 2026. PMID 42513431
- Sekundo W, et al. Keratorefractive lenticule extraction for myopia and myopic astigmatism with the VISUMAX 800: 6-month outcomes of a prospective multicenter study. J Refract Surg. 2025. PMID 40067668
- Messerschmidt-Roth A, et al. Keratorefractive lenticule extraction for myopia and myopic astigmatism using a 2 MHz femtosecond laser: 12-month refractive outcomes. J Cataract Refract Surg. 2026. PMID 41739953
- Beckers D, et al. Intraoperative safety and postoperative complications after SMILE Pro: a retrospective case series of 916 eyes. J Clin Med. 2026. PMID 42355753
- Feucht N, et al. Patient-reported outcomes after keratorefractive lenticule extraction using the VISUMAX 800 laser in a prospective multicenter post-market clinical follow-up study. J Refract Surg. 2026. PMID 42261934
- İritaş İ, et al. Enhanced predictability and axis precision of SMILE Pro, a retrospective analysis of myopic astigmatism correction. Int J Ophthalmol. 2026. PMID 42639215
- Wang Y, et al. Evidence-based guidelines for keratorefractive lenticule extraction surgery. Ophthalmology. 2025. PMID 39577672
- Sambhi RS, et al. Dry eye after refractive surgery: a meta-analysis. Can J Ophthalmol. 2020. PMID 31712000
- Jiang X, et al. Influences of SMILE and FS-LASIK on corneal sub-basal nerves: a systematic review and network meta-analysis. J Refract Surg. 2022. PMID 35412925
- Chen KY, et al. How effective is keratorefractive lenticule extraction surgery (KLEx) in reducing dry eye outcomes compared to LASIK? A systematic review and meta-analysis. J Refract Surg. 2025. PMID 40778870
- Chen S, et al. Corneal biomechanics after small incision lenticule extraction and femtosecond laser in situ keratomileusis: a systematic review and meta-analysis. Medicine (Baltimore). 2023. PMID 37565903
この記事は情報提供を目的としたものであり、医師の診察に代わるものではありません。適応、期待される利益、リスクは、個々の状況によって異なります。視力に関するご質問は、眼科医にご相談ください。
執筆・監修: Dr Moïse Tourabaly、屈折矯正手術を専門とする眼科医 — キャンズ・ヴァン国立眼科病院(CHNO des Quinze-Vingts)元チーフレジデント。
最終更新: 2026年10月4日

