• 硝子体切除術:適応、手術の流れ、そして術後の経過

    硝子体切除術:適応、手術の流れ、そして術後の経過 硝子体切除術は、眼の奥を満たす透明なゲルである硝子体を取り除き、網膜のいくつかの病気を治すための、硝子体網膜のマイクロサージェリーです。適応、手術の流れ、術後の姿勢、そして回復まで。硝子体切除術を受ける前に知っておきたいことをまとめました。 要点 硝子体切除術は、硝子体を取り除いて網膜のいくつかの病気を治す、硝子体網膜のマイクロサージェリーです。 とくに黄斑円孔、網膜前膜、網膜剥離、硝子体出血、眼内炎で適応となります。 サント・ジュヌヴィエーヴ病院(Clinique Sainte-Geneviève)の日帰り手術として行い、自己閉鎖する小さな切開(25ゲージまたは27ゲージのトロカール)を用います。所要時間は平均30〜60分です。 眼のなかにガスによるタンポナーデがある場合、その泡が消えるまで飛行機と高所は禁忌です。また、決められた姿勢を保っていただくことがあります。 知る 硝子体とは何か、なぜ取り除くのか 硝子体は透明で粘りのあるゲルで、水晶体と網膜のあいだ、眼の体積の大部分を占めています。99%近くが水分で、そのほかにコラーゲン線維とヒアルロン酸を含みます。その役割は、眼の形を保ち、光を網膜へ届けることです。 年齢とともに、硝子体は少しずつ液状になります。網膜からはがれることもあり(後部硝子体剥離。多くは問題のないものです)、逆に網膜を病的に引っぱることもあって、それが黄斑円孔、網膜前膜、網膜剥離のもとになります。そうした場合には、硝子体を生理食塩水に、続いてガスやシリコーンオイルに置き換えることで、原因を取り除き、網膜の形を元に戻せます。 覚えておきたいこと 硝子体はものを見るために欠かせないものではなく、取り除いても見え方が失われることはありません。硝子体のない眼も働きます。取り除いたあとは、眼が自分で作る房水か、一時的なタンポナーデ(ガスまたはオイル)が少しずつその場所を満たします。 適応 硝子体切除術の主な6つの適応 特発性黄斑円孔:網膜の中心にできる小さな孔で、中心の見え方が落ち、ものがゆがんで見えます(変視症)。硝子体切除術に内境界膜(ILM)の剥離とガスによるタンポナーデを組み合わせることで、90%を超える場合に孔が閉じます。 網膜前膜(黄斑上膜):黄斑の表面にできる薄い瘢痕状の膜で、網膜を引っぱって像をゆがめます。硝子体切除術と膜の剥離によって、見え方が少しずつ戻ります。網膜前膜について詳しく。…

  • 抗VEGFの硝子体内注射:適応と当日の流れ

    抗VEGFの硝子体内注射:適応と当日の流れ 硝子体内注射(IVT)は、初回の前に不安を感じられる方が多い処置です。実際には、点眼麻酔で行う短い処置で、5分もかかりません。当日をよく分かったうえで迎えていただけるよう、注射の前の数時間から、あとの24時間まで、実際に体験されることをご説明します。技術的なこと(薬剤、適応、投与の組み立て)については、硝子体内注射のページをご覧ください。 要点 抗VEGFの硝子体内注射(IVT)は点眼麻酔で行う短い処置です。注射そのものは数秒、部屋にいる時間を含めても5〜10分です。 絶食は必要なく、局所麻酔で行います。時間の大半は清潔操作にあてられます。処置の安全は、そこにかかっているからです。 注射のあと、一時的に見え方がかすむこと、少し赤くなること、砂が入ったような感じは、よくあることで、ふつう24〜48時間で治まります。 注意すべきサインもあります。強い痛み、見え方が急に落ちること、眼がひどく赤いことは、まれではあるものの急を要する眼内炎を示していることがあります。 前もって 前の数日:落ち着いて備える 初めてのIVTの前にもっとも多いご心配は、「眼に針を刺される」ことです。もっともなお気持ちですが、実際の処置に比べると、たいてい大きく膨らんでいます。頭は鋭い痛みを思い描きますが、その痛みは点眼による局所麻酔でほとんど取り除かれます。この不安は、一度体験されると、2回目からははっきり軽くなります。 前の数日のあいだに、いくつか整えておいていただきたいことがあります。 処方箋:内容が最新かご確認ください(施設によっては、薬剤について、お名前入りの新しい処方箋を求められます)。 事務手続きの書類:カルト・ヴィタル(Carte Vitale、フランスの健康保険証)、共済保険の書類、糖尿病や滲出型加齢黄斑変性の場合はALD(長期疾病)の認定書類。 行き帰り:数時間は見え方がかすみます。帰りはどなたかに付き添っていただくか、タクシーをお使いください。とくに初回はそうしてください。当日の運転はおすすめしません。 いま飲んでいるお薬:ふだんのお薬は続けてください。抗凝固薬も同じです(循環器の先生から特別な指示がある場合を除きます)。IVTのために、よく整っている抗凝固薬をやめる必要はありません。 これから何が起こるかをはっきり知っておくことが、気持ちのうえでいちばんの備えになる。多くの患者さんがそうおっしゃいます。この記事が目指しているのは、まさにそこです。 当日…

  • ジオプター:定義と、見え方を測る単位

    要点 ジオプターは屈折力の単位です。眼鏡の処方箋に、マイナスまたはプラスの符号をつけて書かれている数字がそれにあたります。 処方箋は三つの値で読みます。球面度数(マイナスなら近視、プラスなら遠視)、円柱度数とその軸(乱視)、そして加入度数(老視)です。 ジオプターとフランス式の10分の1表記は換算できません。ジオプターは必要な矯正の量を測り、視力は矯正した結果として得られた見え方を測ります。 ジオプターの値だけで、どの術式が受けられるかが決まることはありません。適応はひとりずつ、術前検査をひととおり行ったうえで判断します。 ジオプター:定義、処方箋の読み方、そして屈折矯正手術 ジオプターは、レンズの屈折力や、眼の屈折異常の大きさを測る国際単位です。眼鏡の処方箋に書かれている、あの数字のことです。近視ならマイナス、遠視ならプラスの符号がつきます。ジオプターが何を表しているのかが分かると、ご自身の処方箋を読み、屈折異常の大きさをつかみ、矯正の選択肢について眼科医と落ち着いて話せるようになります。 理解する ジオプターとは何か ジオプターは、レンズの屈折力を測る単位です。眼鏡のレンズでも、コンタクトレンズでも、眼そのものの水晶体でも同じように使います。記号はδ、処方箋ではより一般的にDの文字で書かれます。 物理的には、1ジオプターは焦点距離をメートルで表した値の逆数にあたります。焦点が1メートルのところにあるレンズの屈折力は1ジオプターです。焦点が50センチメートル(0.5m)なら、屈折力は2ジオプターになります。短い距離で光を集めるレンズほど、ジオプターの値は大きくなります。 これを人の眼にあてはめると、この単位は、網膜のちょうど上にはっきりした像を結ばせるために必要な矯正の量を表します。眼球そのものもおよそ60ジオプターの光学系で、角膜(およそ43δ)と水晶体(およそ17δ)を合わせたものです。近視、遠視、乱視といった屈折異常は、この合計の屈折力が眼軸長に対してわずかにずれているときに生じます。 処方箋 ジオプターで書かれた処方箋の読み方 眼科の処方箋にはいくつかの欄があり、左右それぞれの眼について(OD=右眼、OG=左眼。これはフランスの処方箋の書き方です)、最大で四つの値がジオプターまたは度で書かれています。この行の読み方を知っておくと、眼鏡店で行き違いが起こりません。 球面度数(S):主となる屈折力 球面度数は「S」または「SPH」と書かれ、近視あるいは遠視にあたる主な矯正の値です。マイナスの数字(−1.50 D)は近視を、プラスの数字(+2.00…

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    散瞳と縮瞳:瞳孔が広がったり狭まったりするのはなぜか

    散瞳と縮瞳:瞳孔が広がったり狭まったりするのはなぜか 散瞳とは瞳孔がふだんより大きく開いた状態、縮瞳とは瞳孔がふだんより小さく狭まった状態をいいます。多くの場合これは生理的な変化で、明るさや気持ちの動きに合わせて起こっているだけです。ただし、片方の瞳孔だけ大きさが変わったとき(瞳孔不同)や、痛み、ものが二重に見える、まぶたが下がるといった症状を伴うときは、神経や眼の異常のサインであることがあり、早めに診てもらう必要があります。 理解する 要点 散瞳は瞳孔が広がった状態(5〜6mmを超えるもの)、縮瞳は瞳孔が狭まった状態(2mm未満のもの)です。どちらも、虹彩の瞳孔括約筋と瞳孔散大筋の釣り合いから生まれます。 原因の多くは生理的なもの、あるいは薬によるもの(散瞳用の点眼薬、一部の内服薬、毒性のある物質)で、心配のいらないものです。 瞳孔不同(左右の瞳孔の大きさが違う状態)に出会ったとき、いちばん大切なのは、その差が明るいところで大きくなるのか(異常なのは大きいほうの瞳孔)、暗いところで大きくなるのか(異常なのは小さいほうの瞳孔)を見分けることです。 次の組み合わせは緊急です。散瞳に痛みと眼の赤みを伴うもの(急性緑内障発作)、散瞳にまぶたの下がりと複視を伴うもの(動眼神経の障害)、縮瞳に眼瞼下垂を伴うもの(ホルネル症候群、Claude Bernard-Horner症候群)。 散瞳と縮瞳とは何か 瞳孔は虹彩の中央にある開口部で、カメラの絞りのように、眼に入る光の量を調節しています。その直径はふつう日中の明るさで2〜4mmのあいだで変わり、暗いところでは6〜8mmまで広がることがあります。この開口部を、互いに反対に働く二つの筋肉が受け持っています。 瞳孔がいつもと違って開いたままのとき散瞳、いつもと違って狭まったままのとき縮瞳(myosis、miosis)と呼びます。これらは状態を表す言葉であって、病名ではありません。大切なのはつねに、その原因を突きとめることです。原因はただの反射から神経の病気まで、さまざまです。 原因 散瞳:瞳孔が広がるわけ 生理的な原因 両方の瞳孔が広がることは、暗いところや、強い感情が動いたとき、力を出したとき、痛みがあるとき(交感神経が高まったとき)には正常な反応です。このような散瞳は左右対称で、光に反応し、一時的なものです。 薬や物質による原因 続いている散瞳の原因としては、これがもっとも多いものです。それと分かってしまえば、たいていは心配のいらないものです。…

  • 虹彩:眼の解剖、役割、そして色

    要点 虹彩は眼の色のついた膜で、ぶどう膜のいちばん前の部分にあたり、角膜と水晶体のあいだにあります。その中央の開口部が瞳孔です。 その直径は、互いに反対に働く二つの筋肉が決めています。瞳孔括約筋(副交感神経、縮瞳)と瞳孔散大筋(交感神経、散瞳)です。虹彩はカメラの絞りの役割を果たしています。 色素の濃い後面は遮光板として働き、瞳孔以外のところから光が網膜に届かないようにしています。 対光反射は、直接も間接も、眼科の検査のたびに確かめます。また、近くを見るときの縮瞳は、近方視のはっきりさを支えています。 虹彩:解剖、役割、眼の色、そして病気 虹彩は眼の色のついた膜で、角膜のうしろにあるこの円板が、青や緑や茶といった眼の色をつくっています。その中央に開いているのが瞳孔です。互いに反対に働く二つの筋肉でその直径を変えることで、虹彩は網膜に届く光の量を絶えず調節しています。カメラの絞りとまったく同じ働きです。虹彩の構造、役割、そして病気を知っておくと、眼科医との話がかみ合いやすくなります。 理解する 虹彩とは何か 虹彩は、円い形をした、色のついた、縮んだり広がったりする膜で、眼の血管に富んだ層であるぶどう膜のいちばん前の部分にあたります。透明な角膜のすぐうしろ、水晶体の手前にあり、前房を満たす房水のなかに浮かんでいます。その中央の孔である瞳孔は、光が網膜まで入っていける唯一の通り道です。 いちばん分かりやすいたとえは、カメラの絞りです。虹彩はピント合わせには関わりません(それは角膜と水晶体の役目です)。虹彩が受け持っているのは、光学系に入れる光の量を細かく加減することです。明るいところでは縮んで網膜を守り、同時に被写界深度を深くします。薄暗いところでは広がって、届く光をできるだけ多く取り込みます。 成人では、虹彩の直径はおよそ12mmです。瞳孔は、明るいところでのおよそ2mmから、まったくの暗闇での8mmまで変わります。面積にすれば16倍の幅です。この大きな振れ幅のおかげで、人の眼はきわめて広い明るさの範囲で働くことができます。 解剖 虹彩の構造と層 虹彩はいくつかの層が重なってできていて、それぞれがはっきりした役割を担っています。前面(角膜側)から後面(水晶体側)へ向かって、次のように分けられます。 前境界層と実質(ストローマ) 虹彩の前面には、続いた上皮がありません。そこにあるのは実質(ストローマ)の前縁で、線維芽細胞、色素細胞(メラノサイト)、血管に富んだ疎な結合組織です。虹彩の見た目の色をつくるメラニンを持っているのが、この実質です。細隙灯顕微鏡(スリットランプ)で見えるそのわずかに不ぞろいな表情が、虹彩小輪、大虹彩動脈輪、そして一人ひとり異なる隆起の模様をかたちづくっています。その模様は個人の識別のために生体認証にも使われているほどです。 瞳孔の筋肉:括約筋と散大筋…

  • 光視症:視野のなかに走る光の閃き

    要点 光視症とは、実際の光がないのに見える光の閃きで、網膜が機械的あるいは電気的に刺激されることで生じます。 飛蚊症(動く影、糸くず、いわゆる「飛ぶ蚊」)やハローと混同しないでください。原因が異なります。 もっとも多い原因は後部硝子体剥離で、これは良性のものです。まれに、光視症が網膜裂孔や網膜剥離の始まりを知らせていることがあります。 光視症が急に現れたら、まして飛蚊症が急に増えたり視野に影が出たりしていれば、散瞳しての眼底検査を急いで受ける必要があります。 光視症:視野のなかに走る光の閃き 光視症とは、実際の光源が何もないのに、閃光、フラッシュ、火花のような光を感じることです。多くは良性で、硝子体の自然な老化に伴うものですが、ときに網膜の緊急事態を知らせていることがあります。何から生じるのか、ありふれたものと重いものをどう見分けるのか、そして急いで受診すべき合図は何か。患者さんに知っておいていただきたいことをご説明します。 理解する 光視症とは何か 光視症とは、実際には光が眼に届いていないのに、閃光、フラッシュ、火花、光の弧といった光の信号を感じることです。この感じは、網膜が機械的あるいは電気的に刺激され、脳が光として受け取る信号を送ることから生じます。フランス語のphosphèneはギリシャ語のphos(光)とphainein(現れる)から来ています。 ありふれた光視症は誰もが経験しています。目をこすったときに現れる光の点や、軽くぶつかったあとに走る短い閃きです。こうした一度きりの現象に問題はありません。気をつけるべきなのは、新しく現れた、繰り返す、あるいは続く光視症です。とくに50歳を過ぎた方や、近視の方ではそうです。 光視症にはいくつかの特徴があります。暗いところや、目を速く動かしたときに見えやすくなります。多くは視野の中心ではなく、周辺(横、上、下)に現れます。続く時間は短く、一瞬から数秒ほどで、長く続く幻視とは異なります。 光視症、飛蚊症、ハロー:混同しないために 光視症は、しばしば混同される三つの現象と区別する必要があります。 原因 光視症の、問題のない原因と重い原因 ほとんどの光視症は機械的な原因によるものです。網膜が押されたり引かれたりすることで刺激が生じ、脳がそれを光として受け取ります。ほかに神経の原因(片頭痛)や、血流による原因もあります。重いかどうかは、根本にある原因によって決まります。 問題のない原因:圧迫と閃輝暗点…

  • 水晶体:眼のレンズの役割、構造、そして老化

    水晶体:眼のレンズの役割、構造、そして老化 水晶体は眼のなかにある自然のレンズで、虹彩のうしろにある透明な組織です。近くも遠くもはっきり見えるように、ピントを合わせる働きをしています。若いうちは柔らかく、年齢とともに硬くなり、やがて濁っていきます。この少しずつ進む老化が、45歳ごろの老視と、60歳を過ぎてからの白内障を説明します。その構造と仕組みを知っておくと、いま選べる手術の意味もつかみやすくなります。 要点 水晶体は透明な両凸のレンズで、あらゆる距離にピントを合わせる働き(調節)を担っています。 45歳ごろ、少しずつ硬くなることで老視が起こります。60歳を過ぎると、濁ることで白内障になります。 白内障の手術では、濁った水晶体を取り除き、眼内レンズに入れ替えます。眼内レンズはそのまま一生入れておくものです。 術前の検査は、角膜形状解析(トポグラフィー)と生体計測(バイオメトリー)のあるカシャン(Cachan)で行います。その後の経過観察は、カシャンでもパリ13区でも受けられます。手術はサント・ジュヌヴィエーヴ病院(Clinique Sainte-Geneviève)(パリ14区)で行います。 理解する 水晶体とは何か 水晶体は、透明でしなやかな両凸のレンズで、眼の前のほう、瞳孔と虹彩のすぐうしろに収まっています。直径はおよそ9〜10mm、厚さは4〜5mmです。もっとも大きな特徴は、血管も神経も含まないことです。だからこそ完全に澄んだままでいられ、光をさえぎることなく網膜まで届けられます。 水晶体は角膜とともに、眼の光学系をかたちづくっています。角膜は形が変わらず、ピントを合わせる力のおよそ3分の2を担います。残りの3分の1を担うのが水晶体ですが、水晶体にはほかにない働きがあります。眼のなかで唯一、自分の形を変えてあらゆる距離にピントを合わせられるのです。この働きを調節と呼びます。水晶体が眼全体の構造のなかでどこに位置するのかは、眼の解剖のページをご覧ください。 解剖 水晶体はどのような構造をしているのか 水晶体は玉ねぎのように、同心円状の層が重なってできています。その層は一生のあいだ増え続け、いちど作られたものが取り除かれることはありません。この造りが、水晶体の優れた光学的な性質と、避けられない老化の両方を説明します。 チン小帯:ピントを合わせる仕組み 水晶体は、チン小帯(zonule de…

  • 視力とは:定義、測り方、結果の読み方(10/10)

    要点 視力は、眼の分解能を測るものです。視線の先にある、中心の見え方の細かさを表します。 フランスではモノワイエ視力表(échelle de Monoyer)を5メートルの距離で読み、10分の1刻みで記します。フランスの10/10(日本の小数視力で1.0)と英語圏の20/20(スネレン視力表)は同じ水準を指します。近くの見え方はパリノー(Parinaud)で表します。 10/10(1.0)は上限ではなく、統計上の正常の目安です。それを超えて読める方もいますし、進んだ緑内障のように、視野がとても狭くなっていても視力は正常のままということがあります。 合った矯正で視力が10/10(1.0)まで戻るなら、原因は屈折にあります。戻らない場合は、十分な検査で病気を探す必要があります。 視力とは:定義、測り方、そして読み方(10/10) 視力とは、眼が細かいものを見分け、ごく近い二つの点を分けて捉える力のことです。フランスではモノワイエ視力表を用いて10分の1刻みで表し、10/10(日本の小数視力で1.0)が正常の基準になります。この数字が何を測っていて、何を語らないのか、そして光学的な異常とどう結びつくのかを知っておくと、ご自身の検査結果を読み解き、眼科医と話しやすくなります。 理解する 視力とは何か 視力とは眼の分解能、つまり物のもっとも細かい部分を捉え、ごくわずかな角度しか離れていない二つの点を見分ける力を指します。具体的には、道路標識の文字を読む、遠くから人の顔を見分ける、小さな文字の文章を読み取るといったことを可能にしている力です。 補い合う二つの視力があります。数メートル離れて測る遠見視力は遠くの見え方を表し、読書の距離(およそ33センチ)で測る近見視力は手元の見え方を表します。この二つは別々に低下しうるものです。遠くがよく見えるからといって、近くがつらくないとは限りません。とくに45歳を過ぎて老視が現れてからはそうです。 視力はいくつもの要素に左右されます。光を通す組織の透明さ(角膜、水晶体)、網膜の上に像を正確に結ぶこと、そして網膜から視覚野までの経路が健全であることです。ですから視力の低下は、矯正できる単純な光学的な異常から来ることもあれば、治療を要する眼の病気から来ることもあります。 測り方 視力はどのように測るのか 視力は、大きさが少しずつ小さくなる文字、数字、記号を並べた標準の視力表を、決められた距離に置いて測ります。患者さんは読み取れるいちばん小さい行を、片眼ずつ、まず矯正なしで、次に矯正ありで読みます。その結果が、眼が分解できる細かさの限界を表します。 モノワイエ視力表(遠見視力、フランス)…

  • 眼の解剖:あなたの見え方はどうやって成り立っているのか

    要点 眼はよくできたカメラのように働きます。前側の光学系が光のピントを合わせ、奥の網膜がそれを受け取り、視神経が信号を脳へ送ります。 角膜だけで、ピントを合わせる力のおよそ3分の2を担っています。虹彩は入ってくる光の量を調節し、水晶体は網膜の上でピントを細かく整えます。 眼の奥では、網膜が光を電気の信号に変えています。周辺には暗いところで働く杆体(かんたい)が、細かく見る場所である黄斑には錐体(すいたい)が集まっています。 網膜はふだん眼の奥にぴったり張りついています。そこに裂け目ができて浮き上がると網膜剥離となり、見え方が脅かされる緊急事態です。待たずに対応する必要があります。 眼の解剖:あなたの見え方はどうやって成り立っているのか 眼は直径およそ24mmの光学器官で、光をとらえ、ピントを合わせ、神経の信号に変えて脳へ送っています。光は角膜、房水、瞳孔、水晶体、硝子体の順に通り抜けて、網膜の上にはっきりした像を結びます。眼の解剖を知ることは、見え方の不具合がなぜ起こるのか、そして主な眼の病気がどこで起きているのかを知ることでもあります。 全体像 眼はどのように組み立てられているのか 眼はよくできたカメラのように働きます。前側の光学系が光のピントを合わせ、奥にある感度の高いセンサーがそれを受け取り、ケーブルが脳へ送り届けます。この一式は骨で囲まれた眼窩(がんか)に収まっていて、長さは平均24mm、重さは7グラム余りしかありません。そのなかで、それぞれの組織がはっきりした役割を担っています。 眼の壁は、外側から内側へ向かって三つの膜が重なってできていると考えるのが一般的です。この見方を知っておくと、それぞれの組織がどこにあるのか、見え方の不具合や眼の病気がどこから生まれるのかがつかみやすくなります。 これらの膜の内側には、光が通り抜けなければならない透明な部分があります。前方の房水、中央の水晶体、後方の硝子体です。この部分が完全に澄んでいることが、はっきり見えるための条件になります。水晶体が濁る白内障のように、透明さが失われれば、それはそのまま見え方に響きます。 眼の前のほうで 角膜と房水は何をしているのか 角膜は眼のいちばん外側にあるレンズです。透明で丸みを帯びたこの膜が、ピントを合わせるのに必要な屈折力のおよそ3分の2を担っています。房水はそのすぐうしろにある澄んだ液体で、角膜と水晶体に栄養を届け、眼のなかの圧を保っています。この二つが、光の入り口をかたちづくっています。 角膜、いちばん外側のレンズ 角膜は、眼の前面をおおう薄いドーム状の透明な組織です。完全に澄んだままでいられるよう血管を持たない一方、神経は豊かに通っていて、ほんの小さな砂ぼこりにも強く反応します。そのなめらかな曲がり具合が何より大切です。光を曲げ、眼のなかへ集めているのが、この曲面だからです。 角膜の曲面がきれいな球面でないと、光は一点に集まらなくなります。これが乱視です。角膜が薄くなって円錐状に突き出してくる場合は円錐角膜と呼び、若い成人のうちに始まることが多い病気です。角膜はまた、近視、遠視、乱視を矯正するレーザー手術で形を整える組織でもあります。…

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